日記帳

プログラミングのことをつぶやく日記です。

経済学から工学(夜間大学)へのシフトしたときに感じたギャップなど

この記事は社会人学生 Advent Calendar 2023 の 20 日目の記事です。私は2023年3月に電気通信大学 先端工学基礎課程(以下K課程)を卒業しました.私は、文系大学を卒業し、社会人になってから理系大学に入り直しました。K課程入学後にギャップに感じたことや卒業後の進路についてまとめました。

入学理由

こちらの記事に書いてます.

大学受験をする - 日記帳

卒業した今だから言えますが,この課程はとにかく私立中堅大学程度の学力の文系学生にはつらいことが多いです.言い換えると、最初の大学受験で数学物理化学を使わないことによって起きる弊害です。

卒業までに感じたギャップ

夜間のカリキュラムだけではCSを学ぶには足りないものが多すぎる

先端工学基礎課程時間割

https://www.uec.ac.jp/department/ie_evening/k/curriculum.html

CSのことを学びたいが、K課程のカリキュラムは幅広い工学知識をカバーする目的のため電通大Ⅱ類(「情報」と「理工」の融合)寄りです。Ⅰ類で学べるCS分野の中で、K課程で選択できる専門科目の中でおおよそ1/4程度です。CSを学びたい意欲があり、なおかつ院進学を視野に入れた卒業研究(以下卒研)をやらないのであれば、K課程は選択しないほうが良いです。私は院進学を考えていたので、専門科目のCS分野の少なさには目をつぶりました。卒研は、研究の基礎を教え込まれるので院進学するのであれば、できればやっておきたいです。

私は、CSのことを中心に学びたかったので、Ⅱ類寄りの科目である「電気回路学および演習」「制御工学」「電磁波工学」「アナログ回路実験」「信号処理論」「基礎電子工学」「電磁気学および演習」「電磁波工学 」などは、私は興味が持てなくて、特に苦労しました。これらの科目に高い興味がない人で、そつなくこなせる人は本当に尊敬しています。

逆にK課程でやってほしかった科目は、「確率論」「情報領域演習」「複素関数論」「オペレーションズ・リサーチ基礎」「コンピュータ設計論」「コンピュータサイエンス実験」「数理計画法」「グラフとネットワーク 」あたりです。昼間に時間を作ることができれば、昼間の授業を履修することは可能なので、この問題は一応解決可能です。

基礎学力の低さによる勉強のキツさ

文系大学入学時、および入学後には数学、物理、化学などの理系知識はほとんど使わなかったうえに、大学へは付属校進学だったため、入学時は理系の学力が恐ろしく低い状態でした。入学後の様々なサポートにより何とかなりましたが、一度理系を卒業して再入学した人に比べて著しい学力差を感じます。ここは後悔しても仕方なかったので、毎日コツコツやっている部分もありました。同じK課程の人々でも、文系から来た人は、軒並み辛そうです。特に1年次に受ける微分積分学で1/3~1/4ぐらいの生徒が単位を落とします。

フルタイムで働いている社会人の割合は思ったより少ない

入学して気が付いたのが、入学時に18~20歳ぐらいの学生がおおよそ1/2程度を占めていることです。残りの半分は、それ以上の年齢ですが、週5で7~8h程度勤務するフルタイムで働いている人は、さらにその半分ぐらいでした。入学時なので、その後状況が変わってる人はいましたが、最初は8割程度は社会人かなとは思っていました。後述する卒業後の進路で現職の人が2~3割なので、ここで感じたことは的外れなことではないと思います。

趣味の時間または気力が確保できない

私の平日(1年次)のスケジュールは以下の通りでした。授業時間を除いた机に向かっていられる自習時間が最長で2.5h程度でした。会社から大学までの移動時間が往復2h程度あり、行きは満員電車だったのがきつかったです。電車内も色々勉強しなくてはならなかったのですが、ヘトヘトになっていることも多かったです。

土曜日のスケジュールはおおよそ以下の通りでした。授業終わりは皆でファミレスに集まって課題をやっていました。日曜日は課題が残っていれば課題をやっていました。大体5~6時間ぐらいは課題をやっていたと思います。あとは炊事洗濯掃除などを片付けて買い物をしたりして1日が終わってました。

平日、休日ともに自由時間が夜の1h程度しかなく、仕事で消耗した気力をあまり回復することもできませんでした。なので趣味をやる気力がだんだんなくなってきました。3年次はあまり本を読む気力がなくなっていました。

時間割を見る限り4年間ギッチリ授業が詰まっています。4年生になったら卒研に集中できる昼間の学生とは違って、授業をそれなりに取らないと卒業できません。後でわかったことなのですがK課程は本来は5年で完了するようにカリキュラムを組んでいるそうです。(要出典)4年での卒業は難しく、標準修業年限で卒業できるのは令和4年の場合は4割でした。令和4年度情報理工学域卒業者等の状況│電気通信大学

入学ガイダンスでも言われると思いますが、4年で卒業するには苦労すると思います。(実はこのデータは編入組も統計の母数に入れられているので、実際の卒業率はもうちょっと上です)

仕事に使える気力が目に見えて減少している

前述したとおり、有職者にとっては、とにかく時間に余裕がないスケジュールです。そのため仕事での疲れをとる機会が中々設けることができません。実験レポートやテスト前は睡眠時間を削らなければならない状態になることもあり、精神的にきつかったです。仕事に対して使える気力が徐々に減少していき、日々の業務を如何に労力を使わないでやり遂げるかにシフトしてしまいました。本来であれば、もうちょっと頑張って成果を上げたがったですが、私の能力だと難しかったです。

健康状態が悪くなる

健康問題が結構深刻な問題だったと思います。私はK課程在学中に、病気は何度かの血尿と軽度の睡眠障害程度で済みました。精神的に苦しくてメンタルヘルスに通ってもいました。(これは、だんだん先生の予約時間と私のスケジュールが合わなくなってしまい辞めました。)白髪も結構増えました。私の友人たちも、ストレス起因の何かしらの病気になったり、精神的な病になったりして大変そうでした。自由度の低い学部の社会人学生は、日常生活へのしわ寄せが多くストレスを貯めやすいです。継続したストレスが続くようならば、長期履修も良いかもしれません。ただし過剰なストレスを受け続けると正常な判断がしづらくなるので、1年生のうちに早めに長期履修申請をしたほうが良いかもしれません。

進路について

K課程卒業後の進路は年度によって結構違います。大体2~3割程度の人が現職のままです。3割がおそらく新卒での就職です。その他は就職浪人か院浪人であることが多いです。以下が過去2年間のK課程の進路です。

2022年3月卒進路

2023年3月卒進路

院進学

私は院進学したので、これに該当します。K課程の授業だけでは、院の一般入試の範囲をカバーできないことがほとんどです。したがってそれなりの準備期間が必要になります。指導教員によっては社会人入試を勧められると思います。社会人入試は、聞いた話によると、口頭試問で大学程度の数学や物理の問題を聞かれるそうです。私は推薦入試で入学しました。指導教員曰く推薦を取れるなら、そのほうがよいとのことでした。年々、さまざまな要因によりK課程の推薦入試の難易度が上がっているので、私は運が良かっただけです。推薦入試については過去記事にまとめています。

leokun0210.hatenablog.com

就職

これも聞いた話ですが、K課程事務局に行くと企業への推薦が得られる場合があるようです。なのでその制度を使って就職する人もいるようです。周りに新卒就職するひとがほとんどいないかったので、あまり書けることはありません。

現職

私の周りでは現職が多かったです。これは特に書くことはありません。

その他

私の卒業年度では、院浪人や就職浪人が多かったように思います。2~3年次はコロナにより通学機会が少なく学生同士の情報連携が少なかったためではないかと推測しています。下の学年では、Discordなどを用いて学生間で積極的な交流をしているようです。

最後に

いろいろとりとめのないことを書きましたが、卒業して得られたものは想定範囲内であり、それを書くのは面白くなかったので、他の人があまり書かないであろう卒業後の進路や私が感じたギャップを中心に描かせてもらいました。K課程は、正直なところ私が気軽に他人に勧められるコースではなかったです。卒業するにあたり、それなりの覚悟が必要だったと痛感しています。もし、この記事が入学を考えてる人の一助になれば幸いです。